9日朝、学納金(学費)値上げに関する保護者説明会が講堂で開催された。学校側からは吉原理事長・平校長などが出席。値上げの目的について説明し理解を求めたが、値上げした費用の詳細な使い道については明らかにならず、納得感は薄いまま閉会した。
本紙は出席した保護者などに話を伺い、その聞き取りを元に記事を公開する。
説明会に際し、新たな資料等は提供されなかった。従来の通知プリントでは「大規模な機器更新」などのメンテナンスが必要であり、その費用が高騰していること、人件費、ICT教育への投資などの資金が必要であることを理由としていたが、今日の説明会でもその内容を繰り返した模様だ。増額分の使い道は現時点では明確に決まっておらず、事後報告とする旨の説明がなされたという。
設備費については、学校側から他校と比較した発言があったといい、「開成、武蔵の設備は麻布より優れている」として理解を求めた。
また、人件費については従来よりも具体的に触れ「来年度5人以上の大学院卒新人教諭を採用する予定があり、2年前から調査にあたってきた。良い教員を集めるためのコストが高まっている」と説明した。
今年度限りでの定年退職を表明している教員は少なくとも2人おり、それ以外にも近く定年を迎える教員は複数存在する。それ以前に、麻布の専任教員不足は従来から指摘されてきた。7クラス5学年、計35クラスの正副担任は70枠あるのに対し、今年担任を受け持っているのは65人。5人が副担任を複数クラス担当する形で対応するような状況が続いており、細やかな目配りに支障が出る可能性もある。それ以外にも非常勤講師にかなり依存している科目が一部に存在すること、急な産休・育休が発生した場合の対応が取りづらいことも考えると、教員の増員は必要性があるといえるだろう。
さらに、教員(労働組合)の賃上げ交渉も続いており、人件費のコスト増加は避けられないといえる。
一方、ICT教育については保護者の質問が相次いだ。従来より本紙が報じているようにiPad政策についての不満は多く存在する。これは保護者も例外ではないようで、中学生の保護者からは批判的な意見を含めた質問が出たという。iPadの導入を先導した理事会・理事長からも明確な回答はなく、校長とともにしどろもどろな応答に終始したように感じる保護者もいた。
30分の説明会では、不十分な説明にとどまったと言わざるを得ない。学校・学園側はこのまま値上げを断行するのか。次の動きに注目が集まる。
なお、9日、正門前には「教育は権利だ 物価高だからこそ 学費は値下げ 家計に負担を求めるな」とする立て看板が立った。有志生徒によるものと思われるが、団体名の記載はなかった。
コメント